2012年01月09日

患者と病気:照屋善彦氏の研究から(2)

王府の妨害のため、ベッテルハイムの診療所には
ほとんど庶民が来ることはなかった。

しかし、診察は行われた。では、患者は誰か?
そして、どのような病気を治療したのか?

・王府派遣の役人の監視が強化され、地元民の到来なし。
 しかし、通事や筑佐事など役人が診療に訪れた。
 足かけ9年間、診療奉仕を続けた。
 しだいに評判はじわじわ広がる。
 患者は、すべて下級役人だったが、その殆どは皮膚病。
「劣悪な食物、不潔とが皮膚病の主要な原因である。」(照屋、p105)

・「琉球で一年間に五十人を上回る人々を診察した。
 皮膚病がほとんどだった。…白内障、角膜白斑、眼の葡萄膜腫
 などが目立った。…」(照屋、p106)

・王府内のかなりの高官たちが洗顔薬を受けていた。
 眼の病が治癒したことの感謝のしるしに、
 メロン二個を進呈した。(照屋、p108)

・人々は殆どその恩恵に与らなかった。
 ただ、法の目を潜れる少数の役人のみが、
 西洋医学の恩恵に浴することができたのだった。(照屋、p109)

このように診察を受けたのは、役人たちだった。
庶民には受診を禁じながら、自分たちは西洋医学の
優位性を知り、その恩恵に浴した。

病気の種類では、劣悪な衛生環境のため皮膚病が多かった。
また、同様に眼の病気も多かったことがわかる。

ベッテルハイムがこうした病気の治療にあたって
どのような薬を使用したのか、など実際の治療技術や
彼のメンタリティーについて、照屋氏は言及していない。
こうした点について、ベッテルハイムの史料を
再読しながら解明していくつもりである。





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Posted by ドクトルふぁん at 22:06│Comments(0)琉球史
 
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